雨の日の七夕

時々パラパラと読み返す本。
いろんな紙の切れ端たちに書かれた船越桂さんの言葉の断片が、妙にしっくりくるのです。
以前TVのインタビューで彫刻作品の下が切れていることについて、人は誰かと話す時足のことは意識しないがお腹の下くらいまでは視界に入る。自分の認識している範囲がここまで、というようなことをお話されていて、私はそれを聞いた時にすごく納得してストンと腹落ちした。あ、私もそうだなって。

前に顔だけの狼を描いたのだけど、お世話になっている画家の方になぜ顔だけなの?と聞かれ、その時の私はうまく答えられなかった。

確か「こ、これでいいんです…私の、中では…」的なことをいって呆れられたような記憶がある。もっとこうしたら?とアドバイスもいただいたが、「私の中ではこれで完成なんだ」っていうきもちは消えなくて。

私はこれでいいと思っていたが、間違っているのだろうか?とまだ自分の作風も固まりきらず自分の感覚に自信がなかった当時、うまくその感覚を言葉に変えて口から出せなくとても不安になった。

その感覚、信じて大丈夫だよ、とその時の私に言ってあげたい。

20210707

2016年「狼」